とある用事で、高山駅付近をうろうろしていた時、ふと、こんな公園を見つけました。
高山の観光地、伝統的な町並みは、高山駅の東側にあります。白川郷や新穂高などへ行くための高速バスも、東側です。鉄道を利用すると、いわゆる「駅裏」の高山駅西側はあまりイメージが無いかもしれません。
自動車で高山へ行くと、中部縦貫道(国道158号)や国道41号、国道472号などで訪れる際には西側からアクセスすることにはなるのですが、大きな道からは少し外れた場所にあるので、なかなかに気付きにくい場所にあります。
すぐ近くには、高山合同庁舎、デイリーヤマザキ、プレイビー(ボーリング場)、マクドナルドなどがあります。
大正時代の名機関車、鉄道院9600形蒸気機関車と、除雪車が、屋根が付いた状態で静態保存されています。
9600形は、1913(大正2)年に、国産初の本格的な貨物用機関車として製造された機関車で、鉄道省(国鉄)のみならず、私鉄や、はたまた樺太、台湾、中国大陸に至るまで、各地で活躍しました。
鬼滅の刃無限列車編に登場した「無限列車」の牽引機のモデルは青梅公園の8620形とされていますが、それと全く同時期に製造された機関車です。旅客用の8620形に対し、貨物用の9600形というわけですね。
保存状態は、極めて良好。今すぐにでも走り出しそうなぐらい。
もし、高山本線で9600形を動態保存となったら、真っ先に復活候補に上がりそうなコンディションです。
……てか、マジで動態保存しません? 今、9600形の動態機皆無ですし、チャンスですよ。ねぇ、高山市さん。
すぐ横に保存されているのは、線路上へ積もった雪をかき分けて除雪するラッセル車。キ100形という、これもまた戦前の代表的な除雪車です。
高山客貨車区所属で、高山駅常備。台車が非常に古めかしい感じ。
これもまた、大変よい状態です。
ここの保存車両については、このブログが大変詳しいです。
9600形は元々、九六会という国鉄OBの団体が保存活動を行っていたようですが、構成メンバーの高齢化から2020年に解散。ラッセル車の方はこれも旧高山客貨車区の職員で構成された雪臨会という団体が担っていたそうですが、同様に高齢化が深刻なようです。
状況によっては、後継となる保存会か何かを立ち上げるしか無いかもしれません。
製造量数が非常に多く、全国各地に保存車両はあるのですが、ここまで状態がよい車両はなかなか無く、産業遺産としての価値が極めて高い車両だと思います。
残念ながら、現状、Web等での情報発信が非常に限定的で、鉄ヲタにすらその存在が知られているとは言いがたい状況です。ここはひとつ、高山へ行った際には、ぜひ立ち寄ってみてください。
(訪問:2021年3月)