海ミハ車両区

宮原太聖(Miha)の雑記帳。おおむね週1回更新でした。当面(記事がある程度貯まるまで)はおおむね月1回の更新です。

学会へ行こう(運輸・地理関係 Advent Calendar 2022)

この記事は、運輸・地理関係 Advent Calendar 2022用に作成しています。

adventar.org

鉄道や道路、旅行関連の色々な記事が予定されていますので、興味がある人はぜひ見に行ってみてください。

 

さて、みなさんは、「学会」へ行った事はありますか? そもそも「学会」に対してどのようなイメージをお持ちでしょうか?

ja.wikipedia.org

学会というものは、元々は、研究者の互助会のようなもので、多くの研究者が情報交換したり互いに協力して研究を進める場として、現在も多くの学会が機能しています。

学会は、研究者の世界でかなり大きな立場を担っています。たとえば、地理学系の学問分野の場合、博士号に必要な博士論文を書くには、学会が発行する論文雑誌に論文を2本*1程度載せる必要があります。論文雑誌に論文を載せるには、学会(学術大会)で報告を行い、質疑応答を経る必要があります。加えて、誰が書いたか伏せた状態で、他の研究者から「本当にこの内容で問題無いか、掲載していいか否か」のチェックが入ります。このチェック(査読)に通らなければ、論文(査読論文)が掲載されることはありません。あと、学会の懇親会でひょんな事からお仕事が振ってきたりね。

まあそんなわけで、研究者(とくに大学院生や若手研究者)にとって学会・学術大会というのは悲喜こもごもある、色々な意味でとても大切なものなのですが、だからといって、学会(学術大会)は研究者しか立ち入りが許されない場所というわけではありません。

学会によっては、大学や研究機関に所属していない・コネが無い人でも会員になれる所もありますし、一般の人(非会員)の学術大会への参加を歓迎している学会も少なくありません。というわけで、せっかくの機会ですから、私が行った事のある学会のうちいくつかを紹介してみようと思います。

コロナ禍の中で、長らくオンライン開催や学会員限定での開催が続いていましたが、最近ようやく対面で開催する所がちらほら出てきています。ただ、事前予約が必要だったり、参加費を事前に納入しないといけなかったり、その他色々と細かいルールがある場合がありますので、もし行ってみたいと思った際は、各学会の大会のページを確認してください。

 

日本地理学会

www.ajg.or.jp

日本で地理学会といえばここ! ……っていう感じの学会です。

学術大会は毎年春と秋に開催されており、春は東京の大学、秋は東京以外の地域の大学で開催するのが慣例です。2022年9月には香川県香川大学で対面で開催され、次回2023年3月も東京都立大学にて対面で開催の予定。

毎回、公開シンポジウムが設定されており、この公開シンポジウムのみの参加であれば無料です。

香川大学で開催された2022年9月の大会では、要事前予約で、一般(非会員)の参加費は3500円、学生は2000円でした。発表要旨集は2000円。

また、日本地理学会は毎回、書籍販売が比較的充実している印象があります。地理学関係の書籍が学会価格で割引されており、お買い得。

(2022年12月11日)誤字修正 愛媛県香川県

 

人文地理学会

hgsj.org

日本国内の地理学者なら、日本地理学会か人文地理学会のどちらか、あるいは両方に入っているだろうという感じの学会です。日本地理学会の本拠地は東京なのに対して、人文地理学会の事務局は京都にあります。……まあ、そういうことだよ。昔は色々と因縁とかあったみたいですけど、今は仲良し。

毎年10月頃に大会があります。2022年は京都市佛教大学で開催されました。過去には広島大学明治大学で開催された年もあります。

佛教大学で開催された2022年人文地理学会大会は、事前予約制で、学会費をゆうちょ口座へ予め振り込む必要がありました。会員・非会員の区別はなく、発表要旨集コミで一般2500円、学生2000円。

このほか、毎年6月に特別例会というシンポジウムも開催しています。

 

歴史地理学会

hist-geo.jp

過去に、人文地理学会と喧嘩別れしてできた学会らしいのですが、今はもう対立しているとか全然無くて、普通に仲良しです。

毎年5月に大会があり、割と日本各地で開催されています。2023年5月は世田谷の日本大学文理学部での開催の予定ですが、2022年は滋賀県滋賀大学で開催されました。

2022年の滋賀大学での大会は、事前予約制で参加費は資料集コミで1000円でした。現地支払で、なんとクレカ決済可。これは来年度以降&他学会もやって欲しい。

歴史地理学会の場合、公開シンポジウムのようなものは無いのですが、公開講演会というものが設定されています。こちらは事前予約不要で参加無料。

 

経済地理学会

www.economicgeography.jp

地理学といっても色々な種類があって、先の歴史地理学会は、歴史と地理との中間みたいな研究をやってる人が多いのに対して、経済地理学会は、経済と地理との中間みたいな研究をやってる人が入ることの多い学会です。……まあ、大抵の物事にはお金が絡むので、多分、地理学系では、日本地理学会、人文地理学会の次ぐらいにネームバリューがある学会だと思います。

この学会は各地の支部が集まってできてるような形を取ってるらしく、支部毎に例会を開催しています。全体の大きな大会は毎年5月。次(2023年)は神田の専修大学で開催の予定です。

2019年は愛知県名古屋市名城大学で開催され、参加費は1000円、学生無料でした。

 

名古屋地理学会

www.geogr.lit.nagoya-u.ac.jp

東海地方を拠点とする地理学会で、主に愛知県内の地理教師が入っています。

巡検(エクスカーション)という「大人の社会見学」的なものをかなり頻繁に開催していて、毎年春と夏に、東海地方のあちこちに行っては色々なものを見学しています。

また、毎年冬に、岐阜県図書館を本拠地にしている岐阜地理学会と合同でシンポジウムを開催しています。

 

日本都市学会

toshigaku.org

土木計画系、社会学、経済学、地理学など多種多様な研究者が「都市」という枠組みで一堂に会する、とても愉快な学会です。

ここも各地の支部が集まってひとつの大きな学会を作ってるタイプの学会なんですが、日本各地の支部が持ち回りで毎年10月頃に大会を開催しています。2022年は名古屋学院大学で開催されました。参加費は1500円で、ただし事前振り込みすると1000円になるという価格設定。

 

交通史学会

kotsushi.org

交通(物流を含む)や通信(郵便など)の歴史を専門にする学会です。この学会は、史学系の学会なのですが、地理学(歴史地理学)の研究者も多数会員になっています。

毎年5月頃に大会があります。鉄道とか船舶とか郵趣とかに関心がある人は、ぜひ。

 

 

 

「学会」というと、どうしても堅苦しくて敷居が高いイメージがありますが、要は、研究者界隈におけるコミケです。

参加費もそんなに高くないので、もしお近くで開催されていたら、ぜひ足を運んでみてください。研究の最先端がそこにあります。

 

*1:数え方には諸説ありますが。