海ミハ車両区

宮原太聖(Miha)の雑記帳。おおむね週1回更新でした。当面(記事がある程度貯まるまで)はおおむね月1回の更新です。

岐阜県図書館でマイナンバーカードを貸出証として使ってみた話

前回、マイナンバーとマイナンバーカードについて記事にしました。

大分長々としてしまいましたが、全て、これのためのネタ振りです。

 

www.pref.gifu.lg.jp

実は、岐阜県図書館、総務省が行っている実証実験に参加しており、手続きを行うことで、マイナンバーカードを貸出証として使うことができるようになっています。

なるほど、それはなんか面白そうだということで、早速、手続きをして、実際に貸出証として使ってみたので、そのレポートです。

 

f:id:t_miyahara:20210313011804p:plain

https://www.cao.go.jp/bangouseido/pdf/seidogaiyou.pdf

 

さて、そもそも、マイナンバーカードを貸出証として使うってどういうことかというと、実は、マイナンバーカードのICチップって、何にも使われていない空きスペースがあるんですね。

その空きスペースを使って、図書館の貸出証の機能を付けてしまおうとまあ、そういうわけ。

 

あらかじめマイキーIDを作成し、そのマイキーIDと岐阜県図書館の貸出証の番号とを紐付けします。紐付けの作業は図書館のスタッフがやってくれますが、事前のマイキーID作成は、当然、自分でやらないといけません。

手続き自体は、そう時間が掛かるものではありません。マイナンバーカードと貸出証を預けてしばらく待つと完了、といった具合。

 

で、手続きからしばらく経って、いざ使ってみようと思ったんですね。

夕方の岐阜県図書館。その時はすっかり忘れていたのですが、実は、マイナンバーカードを貸出証代わりに使えるのは2階の第3カウンターのみで、1階のカウンターでは使えないんですね。

その時、私はそのことをすっかり忘れていて、うっかり1階のカウンターに持って行ってしまったんです。

そこからもう、スタッフの皆さん大慌て。

なぜか対応してないはずの1階カウンターにもICカードリーダーが設置されているのですが、そこでマイナンバーカードが読み込めない。

そもそもマイナンバーカードを貸出証として使う人間なんてあまり居ないのでやり方がわからない。

詳しい人間は既に帰宅しているので何をどうすりゃいいかわからない。

マイナンバーを隠すためのスリーブを外そうとして慌てて止めたりも。

結局、普通に貸出証を忘れたという扱いで手続きをして借りることに。

職員さんの名誉のためにきちんと書いておきますが、これは、私の勘違いが悪いのであって、職員さんの不手際というわけではないです。

本来、そのカウンターに来ない業務が来ちゃったんですから、そりゃあ混乱もします。慌てます。当たり前ですわな。私だってそうなる。

 

そんなこんなで、最初のトライは失敗。

またしばらく経って、今度こそとマイナンバーカードを使って本を借りようとしてみました。

今度は、2階のカウンターへ。……と言いたいところですが、この時もなんかぼーっとしてて1階のカウンターへ間違って行ってしまいました。

職員さんから「これ、本来は2階でしか使えないので、2階へ行くか、あるいは普通の貸出証持ってませんか?」って言われて、はたと。そういやそうだったと*1

借りる本を抱えて階段を上り、2階のカウンターへ。するとやっぱりマイナンバーカードを使うのは珍しいらしく、ちょっと緊張した面持ちで貸し出しの手続きが。

そして、見事、貸し出しに成功。やったぜ。

 

……とはいえ、実用的かというと、かなーり疑問。

そもそも、貸出証を使った普通の貸し出しと比べると、カードの読み込みに結構時間が掛かりました。貸出証ならバーコードを読めば一発だったところ、マインナンバーカードでは、どうも、何度か読み込みを行ったり、どこかと通信したりで、そういう所で時間を要してたっぽい。

また、自動貸出機は非対応ですし、先ほどから何度も書いている通り、そもそも対応しているカウンターは2階の1ヶ所のみですから、そういう部分でも不便です。

 

f:id:t_miyahara:20210313014403p:plain

https://www.library.pref.gifu.lg.jp/uploads/2020/01/mylibrary09.pdf


更に。岐阜県図書館の場合、Myライブラリースマホからログインすると、スマホ画面に貸出証が表示されるシステムがあります。つまり、スマホが貸出証になります。もうこれでいいのでは。

 

 

じゃあ、この取り組みは、全く無意味かというと、そうではないと、私は思います。

最初から完璧なサービスなんて、この世にありません。現在、広く普及して多くの人が使っているWindowsだって、最初はMSDOSというコマンドとかいう「おまじない」を入力して動かす代物に無理矢理GUIをくっつけて、マウスでアイコンをクリックできるようにしたものでした。

Windows95、98、Meといういわゆる9x系のOSなんか、ちょっとしたことですぐブルースクリーンになったり、むしろブルースクリーンになった方がまだマシな事態に陥ったりしていました。

XP、Vista、8、8.1、そして10へと進化を続けていき、今の、それこそ小学生でもマイクラが楽しめるような「パソコン」になっていったわけです。少しずつね。

この手の先駆的・実験的な試みは、失敗してナンボだと思います。使いにくい、問題が多いのは当たり前。そこからどう改良していくかが勝負ですし、そのための実証実験だと思います。

改良のためには、多くの意見が必要だと思います。ですから、その意見のひとつとして、こうして記事を書いているというわけです。

 

その上で、私の率直な感想を。

現状、既存のシステムの方が遙かに快適なので、マイナンバーカードを貸出証として使うモチベーションが無いです。スマホを貸出証代わりにできるの便利すぎでしょう*2

ですから、岐阜県図書館や職員さんが「マイナンバーカードの方が便利だ」という方向にならない限りは、移行の可能性は無いかなぁと。

傍から眺めていた感じ、職員さんの操作がややおぼつかない感じだったり、色々不慣れだったり混乱していたりトラブルがあったようなので、機器の信頼性やUIなどの部分に改善の余地があるかもなぁと。

ただ、そこまでがんばったとしても、やっぱり、マイナンバーカードを貸出証代わりにするより、スマホを貸出証代わりにする方が便利そうなので、こういうのをやるなら、スマホを貸出証代わりにできるなんてシステムが整備されていない図書館の方が費用便益比良さそう。

あるいは、スマホマイナンバーカードの機能が載るようになったら、また状況変わってくるのかなぁ……。

*1:ホント、迷惑な客だ。

*2:高度に進化したレシプロ機とまだ実用化したてのジェット機との争いみたいな感じ。