皆さん、マイナンバーカードは使っていますか? てか、作っていますか?
前にも紹介した通り、マイナンバーカードの作成は、やや面倒です。尤も、行政手続きに関わるものなので、早けりゃ良いってモンでもないとは思いますが。
ぶっちゃけ、作って使うといっても、確定申告か店頭での本人確認かぐらいなもので、現状、言うて必須というカードではありません。
ただ、このマイナンバーカードを使って、色々と先駆的な取り組みに参加できる場合があります。また、今年(2021年)3月より、簡単な(?)手続きで健康保険証としてマイナンバーカードを利用できるようにもなりました。
そこで改めて、そもそもマイナンバーカードとは何かについて、総務省とかの資料を見ながら、おさらいしておきたいと思います。
先んじて断っておきますが、私は、総務省の中の人とかじゃありませんし、セキュリティーの専門家でもありません。何か誤解している点などあれば、ご指摘ください。
- 色々と誤解の多いマイナンバーカード
- マイナンバー≠マイナンバーカード
- マイナンバーとは何か
- マイナンバーカード・電子証明書とは何か
- マイナンバー・マイナンバーカードの安全性
- 怖がるだけじゃ何も始まらない
色々と誤解の多いマイナンバーカード
マイナンバーやマイナンバーカードは、割と政府肝いりなプロジェクトだということもあり、また、日頃のお役所のIT音痴っぷりもあり、国会やらマスコミやらで叩かれがちなマイナンバー。
ただ、各種報道を見る限り、なんというか、公式に出てる資料を見るだけでわかるような誤解に基づくものも散見されます。
私は別に中の人でも何でも無いので、間違っているかもですが、マイナンバーの仕組み上、マイナンバーが漏れたとしても、大丈夫っちゃ大丈夫な仕組みになっているようです。
マイナンバー≠マイナンバーカード
https://www.cao.go.jp/bangouseido/pdf/seidogaiyou.pdf
よく、「私、マイナンバーなんて持ってないわ」って言う人が居ますし、そう思っている人も多いのですが、そういう人は、そもそもマイナンバーの事もマイナンバーカードのことも、まるでわかっていません。
マイナンバーとは何か
マイナンバーは、日本人全てに割り振られている番号です。マイナンバーと国民一人ひとりは、一対一対応しています。つまり、あなたと同じ数字のマイナンバーを持っている人は、世界中であなただけということです。
同じ番号のものが無いという点では、パスポートや免許証の番号、電話番号なんかも同じです。あるいは、もしあなたが学生なら、学校から割り振られている学籍番号(学生証に記載されている英数字など)も同じことです。
ただ、これらパスポートや免許証、学生証、電話番号などは、必ずしも日本国民全員が持っているものではありませんし、また、進学や就職、結婚、免許返納などで変わる場合があります。
一方、マイナンバーは、日本国民として生まれたら発行され、死ぬまでずっと変わりません。
https://www.cao.go.jp/bangouseido/pdf/seidogaiyou.pdf
なんでこんなモンを作るかというと、主目的は、行政の事務を簡単にするためです。
今までは、免許だの納税だの保険証だの年金手帳だのにそれぞれ個別の番号が振られていて、連携もへったくれもありませんでした。ですから、何か申請をしないといけない時に、ある役所で証明書を貰って別の役所に行くとかいうあまり嬉しくないスタンプラリーを強いられていたわけです。縦割り行政ですね。
これは、申請をする側の国民だけが大変というわけではなく、お役所の中の人、つまり、公務員の人達も大変だったりするんです。書類をチェックして、怒れる市民のサンドバッグになり、また書類をチェックして……。
こういったイライラを解消するために導入されたのが、マイナンバーです。
https://www.cao.go.jp/bangouseido/pdf/seidogaiyou.pdf
税金の書類とか、健康保険の状況とか、戸籍の情報とか、行政が把握している色々な情報を、ひとつの番号で紐付けします。すると、
役所A「マイナンバー○○○番の人から、この手当の申請来てるんだけれど、対象になってるかわからん。ちょっとこの情報教えて」
役所B「よっしゃ。ちょっと待ってな。……ああ、あった。この情報ね」
役所A「おっけ。ありがと。じゃあ、この情報と併せて……おーい、役所Cさーん!」
役所C「はいよー。マイナンバー○○○番さんの申請、これで受付したよー」
みたいな事を、勝手にやってくれます。便利。
この便利なシステム、2016年から既にスタートしていて、とっくの昔に、日本国民全員にマイナンバーが発行されています。マイナンバーに賛成・反対を問わず、全員にです。現在、会社などの法人も含め、全員がマイナンバーを持っている状態です。
お仕事をしている人なら、会社からマイナンバーの提出を求められたかもしれません。これは、所得税の管理のために使うわけですね。これにより、税務や社会保障の申請をする際、証明書などの添付を減らせるというわけ。
https://www.cao.go.jp/bangouseido/pdf/seidogaiyou.pdf
マイナンバー関係でよくありがちな誤解。
マイナンバーはあくまで色々なお役所にある情報を違いに紐付けるために使うもので、別にマイナンバーで直接的に国民の情報を管理しているわけではないんです。Mastodonと同じ(?)で、非中央集権的なシステムなようです。
なんか効率悪そうというか、「あー、ここは縦割り行政なのね」って感も無くは無いですが、もし国民のありとあらゆる情報を一括管理する組織が(行政・民間に限らず)できてしまったら、邪悪な事が色々できてしまいそうですから、必要な分散なのでしょう。
で、マイナンバーが漏れた所で、それを使って色々情報をやり取りできるのは、行政だけです。しかも、いつ、どの役所がどういう情報を見たのかっていう情報は、後述する「マイナポータル」でいつでも確認できます。
マイナンバーカード・電子証明書とは何か
さっきも説明した通り、マイナンバーとマイナンバーカードは同じものというわけではありません。
マイナンバーは行政が勝手に国民一人ひとりに割り振っていますが、マイナンバーカードは申請しないと入手できません。
https://www.cao.go.jp/bangouseido/pdf/seidogaiyou.pdf
マイナンバーカードには、先ほど説明したマイナンバーのほか、電子証明書というものが入っています。
ここが大いに誤解される所なのですが、マイナンバーは、基本、お役所しか使えませんし、行政にしても、法律や条令で定められた特定の業務でしか使えません。ですからたとえば、民間のお店とかで、会員証を発行する際にマイナンバーを控えるのはNGです。
一方で、電子証明書というものは、民間でも利用できます。ですから、庶民の日常生活で使うものという観点でいえば、大切なのは、マイナンバーではなく、電子証明書です。
https://www.cao.go.jp/bangouseido/pdf/seidogaiyou.pdf
電子証明書というのは、文字通り、電子的な身分証明書です。
専用の機械*1で読み取ることで、本人かどうか判断する「鍵」として使うんです。
https://www.cao.go.jp/bangouseido/pdf/seidogaiyou.pdf
電子証明書は、Web上で色々な手続きを行う際に使うのですが、たとえば、マイナンバーカードを発行することで利用できるようになるポータルサイト「マイナポータル」へログインする際にも使います。
ただ、マイナンバーカード(電子証明書)だけだと、もしかしたら勝手に持ち出されたり盗まれたものかもしれませんよね。ですから、ログインする際には、同時に、パスワードか4桁のPIN(暗証番号)も求められます。
これは前の記事でも説明したのですが、魔法少女の変身ステッキ(→マイナンバーカード)と呪文(→PIN)の関係と同じです。両方持っていれば、まあ、本人と認めて良いだろうということですね。
これは民間でも利用可能なので、たとえば、通販サイトやWeb銀行へのログインにマイナンバーカード(電子証明書)を使う……なんてこともできるようになるかも。
マイナンバー・マイナンバーカードの安全性
https://www.cao.go.jp/bangouseido/pdf/seidogaiyou.pdf
万が一マイナンバーカードを紛失してしまったら、専用ダイヤルに電話する必要があります。クレカと同じですね。
まあ、万が一悪意ある人の手に渡ったとしても、そもそも顔写真と違うので有人窓口では使えませんし、ICチップにはロクに情報入ってませんし、PIN(暗証番号)やパスワードを知らない事には何も使えないんですけどね。
https://www.cao.go.jp/bangouseido/pdf/seidogaiyou.pdf
そもそも、マイナンバーやマイナンバーカード関係の犯罪は、結構刑罰が重いです。半年~4年の懲役刑からMAX200万の罰金刑からよりどりみどり。
https://www.cao.go.jp/bangouseido/pdf/seidogaiyou.pdf
とまあ、ここまで見てきた感じ、かなり安全性が高いように思うのですが、それでも、世の中「絶対」なんてありません。
たとえば、本来民間企業が集めることのできないマイナンバーを不当に集めているとか、行政のマイナンバーやら個人情報やらの取り扱いが雑いとか、そういう時に相談できる独立した組織が「個人情報保護委員会」です。
マイナンバー専用の相談窓口もあるので、何かあった時のために知っておきたいですね。
怖がるだけじゃ何も始まらない
マイナンバー制度は、前々から頻繁に政争の具にされまくった上に、民主党から自民党への政権交代の狭間で成立したこともあり、誤解が非常に多い制度のひとつだと思います。
おそらく、マスコミもよく理解できていないのではないでしょうか。
人間、わからない事を怖いと感じるのは、当然です。ですが、わからないから(怖いから)反対するという姿勢は、民主主義国家の国民として大いに問題があるのではないでしょうか。
まずは、相手(総務省)の主張(説明)をよく聞いて、わかろうと努力ぐらいはして、その上で賛成するなり反対するなりすべきだと思います。