海ミハ車両区

宮原太聖(Miha)の雑記帳。おおむね週1回更新でした。当面(記事がある程度貯まるまで)はおおむね月1回の更新です。

岐阜かかみがはら航空宇宙博物館(+風景印)

2018年3月にリニューアル開館して以来、ずーっと行きたくて行けていなかった、岐阜かかみがはら航空宇宙博物館へ行ってきました。

 

はじめに

 岐阜かかみがはら航空宇宙博物館は、岐阜県各務原市航空自衛隊岐阜基地の南側にあります。

 

元々は、各務原市営のかかみがはら航空宇宙博物館として1996年に開館しました。2005年にかかみがはら航空宇宙科学博物館と改称され、2018年には展示スペースを拡張し、名前も岐阜かかみがはら航空宇宙博物館へと再改称されました。2018年のリニューアルに際し、岐阜県も経営に参加することになったようです。

現在、指定管理者制度によって、運営の実務は、公益財団法人岐阜かかみがはら航空宇宙博物館が担っているようです。

 

私が以前ここを訪れたのは、まだ開館したばかりの1996年頃だったかと思います。ですから、20年振りぐらい……?

 

A1 航空機と航空機産業の始まり

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入館するとまず目に入るのが、この複葉機

 

乙式一型偵察機。元々はサルムソン2というフランス製の単発複葉複座の偵察・軽爆撃機で、1922年に川崎造船飛行機部(現在の川崎重工業)がライセンス生産した飛行機です。このライセンス生産が、川崎重工の航空機製造のスタートでした。

 

リニューアル前も、この機体は入ってすぐの場所にありました。ただ、以前は入り口に正対して展示されていて、「ああ、置かれてるなぁ」程度の認識しかありませんでした。

今回のリニューアルでは、機をあえて入り口に対して90度回転させることで、展示室に入ると左翼側、展示室中央に進むと正面、展示室の出口は右翼側と、自然と3方向から機を見れるように工夫がされています。また、印象的なムービーもプロジェクターで大写しで流しており、来館者のわくわく感を掻き立てつつ、館のテーマを伝えることに成功しています。

 

壁には、乙式一型偵察機の設計図。元々は20分の1の設計図だったようですが、それを等身大まで引き延ばしています。

 

そして、見上げると、ライトフライヤー。いやぁ、この空間はいいですね。

 

ちなみに、この乙式一型偵察機は、レプリカではあるのですが、製作に際して、近代化産業遺産に指定されたそうです。

 

そして、脇にしれっと置かれている変態エンジン。

このル・ローンC型エンジンは、空冷式エンジンなのですが、なんと、プロペラだけではなく、気筒も回転するというなんともおフランスざますな仕様なんです。

……でも、乙式一型偵察機では採用されてませんでしたよね……? 迷航空機ファン向けのサービス?(^^;)

 

A2 戦前・戦中の航空機開発

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続く展示室で、真っ先に目に入るのが、この立体地図に投影されたプロジェクションマッピング各務原飛行場の歴史をとてもわかりやすく解説してくれます。

 

……これ、仕組みとしては、白い立体地図に対して、普通にスクリーンに投影するのと同じような動画を投影しているだけのようで、立体部分で像が結構歪みます。

これがチャチだと捉えるか、それとも、安価で簡易に目を引く展示が作れると捉えるべきか。

 

この展示室は全体的に暗めになっているのですが、そんな中で突如現れた銀色の機体。キ61「飛燕」です。 

 

本来は塗装されていたものですが、あえて塗装を剥がした状態で展示されています。

投影された日の丸が少し幻想的です。

 

この突き出たやつ、ずっと機銃かと思っていたんですが、ピトー管なんですって。

 

飛燕が置かれている展示室の全景。すっごくオシャレですよね。すき。

 

飛んでる姿で展示されているのは、かの有名なゼロ戦……ではなく、その試作機です。

飛燕のエンジンは水冷ですが、こっちは空冷。水冷エンジン搭載機と空冷エンジン搭載機との機種部分の違いが一目みてわかるようになっています。

 

A3 戦後日本の航空機開発

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暗めの、戦前の航空機を展示する部屋を抜けると、続く部屋は、一気に広く明るくなります。戦後の航空機を展示するスペースです。

 

とはいえ、戦後国産機で商業機っていうとYS-11ぐらいしか無いですから、ほぼほぼ試験機かジェット練習機とかです。

 

一番奥にあるのは、STOL実験機の飛鳥です。STOL機というのは、通常の航空機より短い滑走距離で離陸・離陸できる飛行機で、飛鳥はなんと480メートルあれば着陸できるのだそう。

 

短距離で飛び立てるといえば、ヘリコプターも展示されていました。……リニューアル前にあったっけ……?

数機ありましたが、こいつは報道ヘリとかでよく見るやつですね。国際共同開発なんだそう。

 

S1 空から宇宙へ

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さらに奥へと進むと、宇宙機のコーナー。LE-7エンジン、H2ロケットで採用されていた国産ロケットエンジンです。今のLE-7Aエンジンと比べると、洗練さではやっぱ少し劣りますかね。

 

H2ロケットの衛星フェアリング

 

S2 宇宙への出発 ーロケットー

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ロケットの模型の展示。右側がISAS(東大宇宙研)系、左側がNASDA宇宙開発事業団)系ですね。

 

S4 人を宇宙に送る ー有人宇宙開発ー

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国際宇宙ステーションのきぼう実験棟も展示されています。

 

中にも入れます。

 

もちろん、ThinkPadも。宇宙シェア100%ですからね。当然ですね(

 

S5 宇宙と生命の謎を探る ー宇宙探査ー

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宇宙探査機コーナーの最初には、2010年に帰ってきたはやぶさが。

 

おー、イカロス君だ! ソーラーセイルという、SFでは割かし登場していた動力で飛ぶ世界で初めての宇宙機です。

よく勘違いされやすく、また、一部のSFでは勘違いされたまま描写されてたりするのですが、ソーラーセイルというのは、太陽風ではなく、太陽光圧を動力源にする宇宙機です。光粒子がセイルを押す力で進むというわけ。太陽風は「風」って言ってますけど、要は磁気なので、仮に太陽風を使うなら、進む仕組みはまるっと違ってくるでしょう。

 

そして、ローバーのアイドルこと、キュリオシティ。この辺りは、探査機ファンにはたまらない存在ですよね。

 

屋外展示

そして忘れてはならないのが、屋外展示スペース。

 

新明和のUS-1A。やっぱ飛行艇は浪漫ですよね。

 

そして、かの有名なYS-11全日空の子会社だったエアーニッポン塗装です。

 

おわりに

実は、諸事情で閉館の2時間前ぐらいに着いてしまい、最初は、「まあ、前来た時は言うてそんなでもなかったし、2時間あれば余裕だろ」って思っていました。

しかし、リニューアルによって展示内容が充実したおかげか、ようやく理解できる歳になったからか、とても2時間では足りないボリュームのように感じました。半日は欲しいですね。

観光バスもご覧の通りで、閉館時間が近かったのにけっこう賑わっていました。また、遊具などもそこそこ充実していますので、子供を連れてきて遊ばせるのにもいいかもですね。

 

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キッズルームや授乳室もありますし、コインロッカーも大きなものが用意されていました。

……ただ、惜しむらくは、公共交通機関でのアクセスが微妙に不便というところでしょうか。名鉄各務原線各務原市役所前駅からふれあいバスを使えばアクセス可能です。本数が極度に少ないというわけではなさそうですが……。

 

……あと、博物館と関係無いんですけど、博物館の駐車場入り口から道路を挟んで反対側にラブホっぽいのがあるのと、駐車場へ入るための左折レーンにトラックが停まってるの、なんとかならないんですかね……?

 

おまけ

デザインの敗北。……うん、まあ、気持ちはわかります。多分、逆走してスタッフに順路訊く人が多かったんだろうなぁ……。

 

 振り返ると、こんな感じ。このアングル、絶対狙ってるよね。

 

風景印

岐阜かかみがはら航空宇宙博物館の付近にある郵便局の風景印には、かかみがはら航空宇宙博物館がデザインされたものがあります。

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各務原成清郵便局の風景印は、岐阜かかみがはら航空宇宙博物館の建物とSTOL実験機飛鳥。

切手は、オリジナルフレーム切手「岐阜かかみがはら航空宇宙博物館」のうち、絵柄と同様の飛鳥。

 

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 各務原前渡郵便局の風景印は、先の成清郵便局の風景印とほぼ同じで、飛鳥があった場所がジェット戦闘機に変わっています。

 切手は、オリジナルフレーム切手「岐阜かかみがはら航空宇宙博物館」のうち、飛燕。……でも、使い勝手とかを考えると、他のやつ(キュリオシティとか)を使っとけば良かったかなぁ……。

 

(訪問日:2019年6月17日)