兼山町の 歴史民俗資料館は、可児市への合併後、長らく閉館していましたが、2018年6月に「戦国山城ミュージアム」として新規にオープンすることとなったようです。
兼山町歴史民俗資料館時代からずっと行きたかったのですが、ようやく行くことができました。
(※この記事の最後の方に昆虫標本の写真があります。虫が苦手な人はご注意ください)
戦国山城ミュージアムには、どうも、駐車場が無いようです。すぐ横の可児市観光交流館の駐車場に停めるしかありませんが、ここも駐車台数が非常に限られます。また、すぐ前の道路は、あまり幅員に余裕がありません。
2020年の大河ドラマの主役は明智光秀だそうですが、果たしてこれで大河ドラマが始まったら、観光客を捌ききれるのかどうか。2001年に廃止になった八百津線跡地をバス専用道化してバスを通すとかしないと無理そうな感じ。
戦国山城ミュージアムの前には、こんなオブジェクトが。線路の規格からみて、多分、廃止になった八百津線から持ってきたやつですかね。
戦国山城ミュージアムは以前兼山町歴史民俗資料館だったというのは前述の通りですが、実はこの建物、元々は明治時代に建てられた小学校でした。それが、役場など色々なものに転用されて今に至るんだそう。
立派な瓦が見所。
中は、このように、完全にリノベーションされています。とても、築100年オーバーの建物には見えません。
ただ、元々明治時代の小学校の建物というだけあって、天井はかなり低いです。
照明の配置など、学芸員さんはさぞかしご苦労なさったことでしょう。
館内は、写真撮影OKな物品とそうでない物品とが混在しています。写真撮影NGのものは、NGのマークが横に置かれています。おおむね、パネルの類はOK、それ以外はNGのよう。
……兜とか、撮影ぐらいで劣化なんてしないと思うんですがね。だいたい、今時、展示物にダメージ与えるレベルのフラッシュなんてなかなか無いですし、なんならフラッシュNGでええやんと。
「なんで可児市で戦国山城ミュージアムなの?」って思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実は、可児市って、やたら城が多いんです。
というのも、この地域って、飛騨や木曽から京都あるいは濃尾平野へ出る際の交通の要衝で、ここを押さえることができれば、飛騨・木曽方面のかなりの物流を押さえることができちゃうんですね。そのうえ、山城に向いた地形があちこちに。
可児市は、ほぼ全域、古戦場といってもいいかもってぐらい、多くの戦が繰り広げられてきました。
で、1階の展示の奥の方に、こんな怪しげな階段が。
……ここ、本当に隠されているかのように奥の方にあるので、気付かない人、多いのでは。
降りると、こんなものが。解体された兼山小学校の手すりだそう。
地下は、民具などが展示されています。おそらく、かつての歴史民俗資料館時代には、こういう展示の方がメインだったのでしょう。何気に兼山札という江戸時代の紙幣もしれっと展示されています。
……これ、何気に貴重なやつだと思うんですけど(^^;)
戦前の団扇。広告も兼ねています。
この時代の絵やフォントって、なんか味わいあっていいですよね。
さらに奥にいくと、
こんなものが。
中は、こんな感じになっています。何この隠れ鉄道資料館。
駅名板を裏から見るって、何気に貴重な経験かも。
親の顔より見た通票。そして、名鉄ご自慢のどこでもドアスイッチ。
兼山駅の駅名板。そして普通旅客運賃表。「新岐阜」「新名古屋」の表記があります。
当時の時刻表も。
ダイヤ改正の痕もくっきり。
……しかし、あんな赤字路線でも、非電化にしても、毎時2本はきっちり走らせてたんですね。よぅやるわ……。
八百津線だけじゃなくて、広見線の駅名板もあります。伏見口駅は現在の明智駅、新広見駅は現在の新可児駅ですね。
鉄道グッツも色々。
……ただ、これについては、あまり説明も無く並べられてるのは、ちょっと残念。
で、これ。……なんでこんな所に東武の特急けごんの写真が使われてるんだろう?
あとこれ、軽く検索かけたら、どうも、このサイトの写真のように思えるのですが……気のせい?
まあ、同じ駅で同じ停車位置で同じような天気で撮影すると、どうしても同じような感じになるのかも。撮影できる場所ってどうしても限られるし。しかし、ほんと、なんでこんな所に東武が? 近場なら、それこそ広見線で撮りゃええやん。
率直に言って、鉄道写真で飾り付けしてる空間を使って、グッツの詳細な解説とか、あるいは、八百津線に関するもっと詳細なパネル解説とかやった方がいいんじゃないかなぁと思いました。色々な事情で難しいのかもですが。
ただ、当時の駅名板などがきちんと保存されているという点は最大限評価されるべきですし、鉄ヲタな友人には、近隣へ来る機会があればぜひ訪れて貰いたいと思えるような感じでした。おすすめ。
さて、実はこのミュージアム、蔵を改造した「別館」があります。
入口には足踏み式脱穀機が。手前のものは戦前のもの、奥のが戦後のものかな。
1階は、兼山の消防の歴史が展示されています。
2階は、ちょっとした自然史資料館みたいになってます。
ただ、ここ、標本の保存状態が、なんかあまり良くなさそうで……。
見るも無残なチョウの標本が……。
……ここって、自然史系の職員さん、いらっしゃるのでしょうか。可児市・兼山はなにも戦国期の山城があるだけの地域ではないと思うのですが。
大河ドラマで明智光秀が取り上げられるからって、明智光秀以外の歴史や資源を封印するような感じにならないことを祈ります。
おまけその1。東濃信用金庫旧兼山支店。2017年に閉店(廃店)したそう。
割と新しめな建物なので、どうなるかわかりませんが、銀行って大概頑丈な作りになってるので、何かしら活用できると楽しいかもですね。
おまけその2。旧兼山町のマンホール。
こういうマンホール、学校で児童生徒学生に平成の大合併について教える際、良い教材になるかもですね。
おまけその3。
ミュージアムすぐ横の観光案内所には、色々な記念スタンプがあります。スタンプを押す台紙はハガキにもなっていますので、絵葉書的な使い方をしても楽しいかもしれません。
その中でも、これ。これは発明だと思います。
シャチハタのスタンプなんですが、ガイドに当てて順番に押すことで、多色刷りの浮世絵や錦絵みたいに、カラーのスタンプが押せるというわけ。 ガイドもよくできていて、誰でもあまりずれることなく押せます。
いやぁ、これ考えた人、天才ですわ。
(旅行日:2019年2月3日)