なんか、水道法改正案が話題になっているよう。私的には、「へぇー」程度であまり興味持ってなかったんですが、周りの人があまりに言及するので、なんか気になってきました。
で、何がどうなってるんだろうと軽くググってみたんですが、多くの記事(新聞から個人のブログに至るまで)はレッテル貼りに終始していて、実際、どういう改正案なのか、さっぱりわかりません。
そこで、私は、改正案の原文を読んだ上であれこれ考えていきたいと思います。
厚生労働省の説明
今回の法案、厚生労働省が提出しています。私てっきり国交省だと思ってたんですが、厚生労働省の管轄なんですね。
で、検索かけてみたら、こんなのが出てきました。
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000179020.pdf
法案の説明のために作られたスライドのようです。章構成は以下の通り。
1.水道の現状
2.広域連携・官民連携の現状
3.水道法の改正案について
4.水道事業に係る予算関係等について
5.参考資料
ここで少し驚くのが「広域連携」「官民連携」の文字。「広域連携」なんて、この件取り上げたメディアの記事で見た事ありませんでした。「官民連携」というのも、「民営化」とはまた違ったニュアンスです。
さて、肝心の法案の概要は、20ページ目にあります。
改正の趣旨
人口減少に伴う水の需要の減少、水道施設の老朽化、深刻化する人材不足等の水道の直面する課題に対応し、水道の基盤の強化を図るため、所要の措置を講ずる。
国としては、将来的な人口減・人材減や水道設備の老朽化を念頭にして、この改正案を作っているよう。
……えっ。本当に水の需要減前提でええの? 半導体とか滅茶苦茶水使うし、移民とか入れたら人口も増加すると思うんだけど。
この話題について書いてるのは、スライド4ページ。将来の需要予測のグラフがあります。その下に、
②有収水量:家庭用と家庭用以外に分類して推計した。
家庭用有収水量=家庭用原単位×給水人口
家庭用以外有収水量は、今後の景気の動向や地下水利用専用水道等の動向を把握することが困難であることから、家庭用有収水量の推移に準じて推移するものと考え、家庭用有収水量の比率(0.312)で設定した。
という注記が。……お、おう。まあ、せやな。予測難しいわな……。
20ページに戻ります。「改正の概要」を見てみましょう。
1.関係者の責務の明確化
(1)国、都道府県及び市町村は水道の基盤の強化に関する施策を策定し、推進又は実施するよう努めなければならないこととする。
(2)都道府県は水道事業者等(水道事業者又は水道用水供給事業者をいう。以下同じ。)の間の広域的な連携を推進するよう努めなければな
らないこととする。
(3)水道事業者等はその事業の基盤の強化に努めなければならないこととする。
事業の基盤=インフラ=水道管とか浄水場とか
……って理解でいいのかしら。「水道事業者等」というのが、民間ですね。
でもまあ、責任の所在が明確になるのはいいことでしょう。
2.広域連携の推進
(1)国は広域連携の推進を含む水道の基盤を強化するための基本方針を定めることとする。
(2)都道府県は基本方針に基づき、関係市町村及び水道事業者等の同意を得て、水道基盤強化計画を定めることができることとする。
(3)都道府県は、広域連携を推進するため、関係市町村及び水道事業者等を構成員とする協議会を設けることができることとする。
これも、そんなに問題無いんじゃないでしょうか。市とか町単位で水道整備するより、より広域でやった方が色々効率良いでしょう。
3.適切な資産管理の推進
(1)水道事業者等は、水道施設を良好な状態に保つように、維持及び修繕をしなければならないこととする。
(2)水道事業者等は、水道施設を適切に管理するための水道施設台帳を作成し、保管しなければならないこととする。
(3)水道事業者等は、長期的な観点から、水道施設の計画的な更新に努めなければならないこととする。
(4)水道事業者等は、水道施設の更新に関する費用を含むその事業に係る収支の見通しを作成し、公表するよう努めなければならないこととする。
これは、 「フリーハンドで民営化を推進するんじゃなくて、ある程度縛りは入れるやで」ってことですね。
より具体的な縛りは、たとえば、「良好な状態」とはどういう状態を指すのかとか、サービスの水準とかは、省令で定めるんですかね。
4.官民連携の推進
地方公共団体が、水道事業者等としての位置付けを維持しつつ、厚生労働大臣等の許可を受けて、水道施設に関する公共施設等運営権※を民間事業者に設定できる仕組みを導入する。
※公共施設等運営権とは、PFIの一類型で、利用料金の徴収を行う公共施設について、施設の所有権を地方公共団体が所有したまま、施設の運営権を民間事業者に設定する方式。
許認可権は厚労省が握りますよと。
所有権は国や地方公共団体が握ったまま、施設の運営権を民間業者に設定できるようにするという方式だそう。鉄道でいうと、上下分離方式ですね。なるほどなるほど。
「地方公共団体が、水道事業者等としての位置付けを維持しつつ」とありますが、この件は、スライド22ページに詳細な解説があります。
現状・課題
- 水道事業は、原則として市町村が経営するものとされている。(第6条)
- 一方で、水道の基盤の強化の一つの手法として、PFIや業務委託等、様々な形の官民連携に一層取り組みやすい環境を整えることも必要。
- 現行制度においても、PFI法に基づき、施設の所有権を地方公共団体が所有したまま、施設の運営権を民間事業者に設定することは可能。
- ただし、施設の運営権を民間事業者に設定するためには、地方公共団体が水道事業の認可を返上した上で、民間事業者が新たに認可を受けることが必要。
- 地方公共団体から、不測のリスク発生時には地方公共団体が責任を負えるよう、水道事業の認可を残したまま、運営権の設定を可能として欲しいとの要望。
えっ……。現行法でも民営化できるの? そして、現行法だと、民営化した際には、地方公共団体は水道事業の認可を返上しないといけないの?
そら、「地方公共団体から、不測のリスク発生時には地方公共団体が責任を負えるよう、水道事業の認可を残したまま、運営権の設定を可能として欲しいとの要望」出ますわ。バグじゃん、こんなの。
再度、20ページに戻ります。
5.指定給水装置工事事業者制度の改善
資質の保持や実体との乖離の防止を図るため、指定給水装置工事事業者の指定※に更新制(5年)を導入する。
※各水道事業者は給水装置(蛇口やトイレなどの給水用具・給水管)の工事を施行する者を指定でき、条例において、給水装置工事は指定給水装置工事事業者が行う旨を規定。
この件については、別のスライドに詳細な解説があります。従来、水道を持ってる自治体毎に業者を指定してたのを、全国一律に変えた所、指導が行き届かずに色々トラブルが多発してるんだそう。……そら、更新制にするしかないですわ。
水道法改正案
新旧対照条文
厚生労働省の説明スライドで、大まかな所はわかったので、実際、条文がどうなってるのか見ていきます。
水道法改正案は、ここの真ん中あたり。
で、
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/dl/196-19.pdf
新旧対照条文はこちら。……いい加減、PDFやめてくれませんかね? てか、滅茶苦茶コピペし辛いんですが。これ。わざとなの?(憤怒)
コピペし辛いし、いちいち全部見ていってもアレなので、飛ばし飛ばしでやってきます。
法律の目的
では、第1条から見ていきましょう。
現行法
(この法律の目的)
第一条 この法律は、水道の布設及び管理を適正かつ合理的ならしめるとともに、水道を計画的に整備し、及び水道事業を保護育成することによつて、清浄にして豊富低廉な水の供給を図り、もつて公衆衛生の向上と生活環境の改善とに寄与することを目的とする。
下線部が今回の改正で変わった部分です。
改正案
(この法律の目的)
第一条 この法律は、水道の布設及び管理を適正かつ合理的ならしめるとともに、水道の基盤を強化することによつて、清浄にして豊富低廉な水の供給を図り、もつて公衆衛生の向上と生活環境の改善とに寄与することを目的とする。
「整備」、つまり、新規に作っていくという法律から、「基盤を強化」、つまり、既存のインフラを維持していくという風に方向性を変えますよと。
まあ、ここは、運動会の「宣誓」みたいなモンですから、こんなモンですかね。
責任の所在
現行法
第二条の二 地方公共団体は、当該地域の自然的社会的諸条件に応じて、水道の計画的整備に関する施策を策定し、及びこれを実施するとともに、水道事業及び水道用水供給事業を経営するに当たつては、その適正かつ能率的な運営に努めなければならない。
2 国は、水源の開発その他の水道の整備に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及びこれを推進するとともに、地方公共団体並びに水道事業者及び水道用水供給事業者に対し、必要な技術的及び財政的援助を行うよう努めなければならない。
改正案
第二条の二 国は、水道の基盤の強化に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及びこれを推進するとともに、都道府県及び市町村並びに水道事業者及び水道用水供給事業者(以下「水道事業者等」という。)に対し、必要な技術的及び財政的な援助を行うよう努めなければならない。
2 都道府県は、その区域の自然的社会的諸条件に応じて、その区域内における市町村の区域を超えた広域的な水道事業者等の間の連携等(水道事業者等の間の連携及び二以上の水道事業又は水道用水供給事業の一体的な経営をいう。以下同じ。)の推進その他の水道の基盤の強化に関する施策を策定し、及びこれを実施するよう努めなければならない。
3 市町村は、その区域の自然的社会的諸条件に応じて、その区域
内における水道事業者等の間の連携等の推進その他の水道の基盤
の強化に関する施策を策定し、及びこれを実施するよう努めなけ
ればならない。
4 水道事業者等は、その経営する事業を適正かつ能率的に運営す
るとともに、その事業の基盤の強化に努めなければならない。
第2条の2は全面的に変わってます。
現行法では、「地方公共団体」と「国」っていう大雑把な分け方でしたが、改正案では、「国」「都道府県」「市町村」「水道事業者」と細かく分けられてます。何気に、大きなスケールから小さなスケールへ向けた順番になっているのがいいですね。
現行法では、国の責任として、水源開発とか入っていましたが、改正案では抜けています。こういう辺りも、開発から維持へという方向性の変化が表れてます。
従来、「地方公共団体の責任」となっていた「当該地域の自然的社会的諸条件に応じて、水道の計画的整備に関する施策を策定し、及びこれを実施するとともに、水道事業及び水道用水供給事業を経営するに当たつては、その適正かつ能率的な運営に努めなければならない」のうち、前半(施策の策定)は、市町村の責任になり、後半(適正かつ能率的な運営)は水道事業者の責任になりました。もし、民営化しないのであれば、両方とも、水道を運営する自治体の責任ってことになりますね。
つまり、現行法でいう「地方公共団体」とは、市町村を指していたということかしら。まあ、今の水道法ができた昭和32年当時だと、水道事業っていったら、そりゃあ、市営でやるモンですから、「いちいち自治体と水道事業者とを分けなくてもええやろ」「いちいち市町村とか明記せんでもわかるやろ」ってことだったのかも。
で、今回新たに、「都道府県」の責任も明記されました。都道府県は、水道事業の広域連携を推進していくことが求められることに。やったね。仕事が増えるよ! ……しかしこれ、知事が、水道事業の広域連携に反対する人だったら、どうなるんでしょう(そういう公約を立てて知事選立候補する人はなかなか居ないと思いますが)。
事業の休廃止
現行法第1条の2、改正案第2章は、飛ばします。
事業の休廃止について。
改正案
第十一条
2 地方公共団体以外の水道事業者(給水人口が政令で定める基準を超えるものに限る。)が、前項の許可の申請をしようとするときは、あらかじめ、当該水道事業の給水区域をその区域に含む市町村に協議しなければならない。
ここでいう「前項」とは、事業の休廃止です。現行法では、民間業者が公設民営で水道事業やるなんて想定してませんから、新設条文です。
民営だと、そりゃあ、儲からないとなったら撤退することもあり得るわけですが、いきなり撤退されてしまうと、日常生活に甚大な不都合が出ることが考えられます。ですから、撤退する前には事前に協議する必要がありますよと、協議を経ないと撤退できませんよと、そういう作りになってます。
……でもこれ、事業者が倒産した場合ってどうなるんでしょう。
供給規定(水道料金)
現行法
第十四条(略)
2 前項の供給規程は、次の各号に掲げる要件に適合するものでなければ
ならない。
一 料金が、能率的な経営の下における適正な原価に照らし公正妥当なものであること。
二~五(略)二~五(略)
改正案
第十四条(略)
2 前項の供給規程は、次に掲げる要件に適合するものでなければならない。
一 料金が、能率的な経営の下における適正な原価に照らし、健全な経営を確保することができる公正妥当なものであること。
二~五(略)
気になる料金の話。「健全な経営を確保することができる」という一文が追加されました。別に「公営のままならもっと下げろよ」みたいなことは書かれてません。
ですから、今後、公営のままであっても、「健全な経営を確保することができる」額まで値上げすることもあるかもね。
水道施設運営権
運営権の設定
改正案
(水道施設運営権の設定の許可)
第二十四条の四地方公共団体である水道事業者は、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(平成十一年法律第百十七号。以下「民間資金法」という。)第十九条第一項の規定により水道施設運営等事業(水道施設の全部又は一部の運営等(民間資金法第二条第六項に規定する運営等をいう。)であつて、当該水道施設の利用に係る料金(以下「利用料金」という。)を当該運営等を行う者が自らの収入として収受する事業をいう。以下同じ。)に係る民間資金法第二条第七項に規定する公共施設等運営権(以下「水道施設運営権」という。)を設定しようとするときは、あらかじめ、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。この場合において、当該水道事業者は、第十一条第一項の規定にかかわらず、同項の許可(水道事業の休止に係るものに限る。)を受けることを要しない。
2 水道施設運営等事業は、地方公共団体である水道事業者が、民間資金法第十九条第一項の規定により水道施設運営権を設定した場合に限り、実施することができるものとする。
3 水道施設運営権を有する者(以下「水道施設運営権者」という。)が水道施設運営等事業を実施する場合には、第六条第一項の規定にかかわらず、水道事業経営の認可を受けることを要しない。
民営化に関する条文なので、当然、新設です。
要は、PFI法対応ですね。民間事業者に運営権を譲っても、廃止の手続きはしなくていいですよー、と。また、民間事業者は新規に水道事業の許可を得なくてもいいですよー、と。
運営権の許可基準
ただ、民間事業者は一切の許認可無しで参入できるかというと、どうもそうではないようで、
改正案
(許可基準)
第二十四条の六 第二十四条の四第一項前段の許可は、その申請が次の各号のいずれにも適合していると認められるときでなければ、与えてはならない。
一 当該水道施設運営等事業の計画が確実かつ合理的であること。
二 当該水道施設運営等事業の対象となる水道施設の利用料金が、選定事業者を水道施設運営権者とみなして第二十四条の八第一項の規定により読み替えられた第十四条第二項(第一号、第二号及び第四号に係る部分に限る。以下この号において同じ。)の規定を適用するとしたならば同項に掲げる要件に適合すること。
三 当該水道施設運営等事業の実施により水道の基盤の強化が見込まれること。
2 前項各号に規定する基準を適用するについて必要な技術的細目は、厚生労働省令で定める。
おおまかには、
- 事業計画がきちんとしてること
- 水道料金が公営の場合と同じぐらいで妥当であること(ムチャな値上げはNG?)
- インフラ強化が見込まれること(老朽化したやつを放置しちゃダメよ)
……って感じで、詳細な条件は省令で決めますよ、と。
あと、別の条文ですが、こういう水道施設の技術上の業務を担当する「水道施設運営等事業技術者」という国家資格ができるみたい。資格マニアの皆さんは要チェック(
運営権の取り消し
改正案
(水道施設運営権の取消し等の要求)
第二十四条の十二 厚生労働大臣は、水道施設運営権者がこの法律又はこの法律に基づく命令の規定に違反した場合には、民間資金法第二十九条第一項第一号(トに係る部分に限る。)に掲げる場合に該当するとして、水道施設運営権を設定した地方公共団体である水道事業者に対して、同項の規定による処分をなすべきことを求めることができる。
この法律に違反した場合、刑事罰にはなりませんが、運営権が取り消しになることもあるよう。実質的な業務停止命令ですな。倒産まっしぐら。
感想
結論から言えば、この法律、私には、そこまで問題があるように思えません。
今回の改正は、PFI法を適用しようとした際に発生していた「バグ」のような問題を解消するような内容で、もし、水道民営化に反対するとのことなら、水道法改正案ではなく、PFI法や指定管理者制度自体に反対するべきです。あるいは、水道法をPFI法の対象外にするような改正案を提示するとか。
また、作りとしては、民営化を推進するというよりは、地方公共団体と水道事業者、水道施設運営権者とを分けることで、従来の、「市町村が運営する水道事業」という枠組み以外の水道(民営化も含む)を実現させることに主眼が置かれているようです。
ですから、民営化だけではなく、たとえば、複数の市町村でお金を出し合って3セクを作り、その3セクに水道事業者になって貰うとか、水道施設運営権者になって貰うとか、そういうことも可能になるわけですな。
残念な点としては、広域と言いつつも結局の所、都道府県の壁は残りそうな所。まあ、都道府県同士で話し合えばその壁も越えれるのかも知れませんが、なかなか難しそう。
民間の水道施設運営権者は、果たしてどうやって儲けるのでしょう。水道料金はどうも、弄るのが難しそうです。となると、何か新しい商売を始めるか、人件費を削るかですかね。
新しい設備を入れれば、人件費は減らせるかもしれません。ただ、それも限界がありそう。となると、たとえば、浄水施設の見学会とかを頻繁に行って、浄水場を観光地にしてしまうとか。浄水場を地下化して、上の空間を使って何か不動産業的なことを始めるかとか、そんな感じでしょうか。いっそ、水道管を水素ガスを供給するパイプに変えてしまい、各家庭の燃料電池で水に変換してから、電気やガスとセットで供給する……なんてSFじみたことだってアリかも。
野党、とくに革新系が反対する理由は、なんとなくわかります。彼らが信奉する所の社会主義や共産主義の場合、そもそも企業は全て国有にしていくのが進歩なわけですから、民営化は彼らから見た時に退化でしかないわけですな。
気持ちはわからんでもないです。ですが、地方分権という観点からこの法案を見ると、現行法より、地方自治体が取れる選択肢が増えてるわけなので、そう悪くはないのかなぁと。
どのような水道にしていくかは、水道施設を持っている市町村に委ねられることになります。各首長は、民営化も含め、以前よりも広い選択肢が与えられることになります。
水道民営化は、公務員数を減らしたい場合、非常に魅力的な選択肢です。サービスはそのままに、公務員の数は少なくとも統計上は減ります。しかし同時に、業者選定や料金設定、事業の継続性などの点での問題や不安も発生しやすいでしょう。外郭団体や三セクなんかにやらせると、天下りの温床になったり、民営化前より維持費高くなるかも。もしかしたら、首長選や議会での争点になるかもしれません。
また、広域で水道事業を行う場合、万が一、浄水設備に不具合が発生して断水が起きた際には、影響を受ける範囲も同様に広がることも考えられます。そういったリスクも承知で、複数の自治体で水道を統合するか、それとも、お金が掛かろうとも自前での維持にこだわるか。判断はそれぞれだと思います。
……あるいは、水道事業について全国トップクラスのノウハウと実績を積んでる自治体があるならば、他の自治体の水道事業を水道施設運営権者として担い、自分トコの収入源にするという手もありそうですね。
あなたは、普段飲んでいる水道を誰に作って貰いたいですか? 誰にお金を払いたいですか?
周囲の市町村で水道を共用しますか? それとも、独歩を貫きたいですか?
今まで通りがいいですか? それとも、変革が必要でしょうか?
今回の改正案では、国は、選択肢を与えようとしているに過ぎません。
仮に施行された場合、水道をどのように運営するか判断するのは、各市町村であり、各首長であり、各市町村議会であり、そして、有権者たるあなたなのです。
議会での運営進行などに問題があったのかなぁとは思いますが、議事録までは追ってないのでなんとも。誰かやって。
蛇足
水道民営化については、こういう意見もあるようです。