愛知県小牧市に、桃花台というニュータウンがあります。1974年、計画人口54,000人、開発面積322ha……ディズニーランド6コ分の広さに岐阜県美濃加茂市や埼玉県羽生市の全住民を収容するような大規模なニュータウンとして計画されました。
ここに、おそらく、日本で一番近未来的な廃駅が存在します。
その駅は、桃花台ニュータウンの中にある、ショッピングモール、アピタ桃花台店に隣接していました。
そう。こんな感じに。
「桃花台センター駅」とあります。ここは、桃花台へのアクセス路線として作られた新交通システム桃花台新交通桃花台線「ピーチライナー」の駅でした。
ピーチライナーは、名鉄小牧線小牧駅から、桃花台を経由してJR中央本線高蔵寺駅までを結ぶ予定でした。
ひとまず、小牧駅から桃花台までの区間が1991年に開業し、桃花台住民の欠かせない足となる……はずでした。
ピーチライナーが開通した当時、桃花台から名古屋へ通勤しようと思うと、ピーチライナーを使って小牧駅まで行き、終着の上飯田駅から10分歩いて名城線平安通駅へ行かなければなりませんでした。
朝、急いでいる中で、また夜、疲れ果てた後で、2回も乗り換えないといけないばかりか10分も歩かないといけないなんて、さぞ利用者の健康に寄与したことでしょう。
桃花台ニュータウン計画にも多くの問題が発生しました。1978年、計画人口が47,000人に縮小。1983年には40,000人へ。1998年には開発面積も321.5haへと縮小されていきました。
2001年には一部の地区で地盤沈下が発生。桃花台ニュータウンを開発した住宅都市整備公団はこの事実をきちんと公表していなかったこともあり、2006年になって一気に大騒ぎに。更に、産業廃棄物による土壌汚染も確認され、住民による損害賠償訴訟へと発展しました。
2003年に小牧線と名古屋市営地下鉄上飯田線との相互直通運転が開始され、10分間の強制ウォーキングは無くなりました。しかし、高蔵寺までの延伸はついに叶わず、ピーチライナーは、2006年に廃止。反対運動はとくに起きなかったそうです。
代替として、地元でタクシー事業を営んでいたあおい交通が「ピーチバス」を運行しています。
……それにしても、もったいない。
映画やドラマの撮影地として使えそうな感じもしますが、今の所、愛知県フィルムコミッション協会のウェブサイトで検索かけてもヒットしません。