海ミハ車両区

宮原太聖(Miha)の雑記帳。おおむね週1回更新です。

「魔法少女まどか☆マギカ」について語ってみる

 学部生の頃の先輩が、なんか、劇場版まどか☆マギカにハマったっぽいので、私もまどか☆マギカ(テレビ放映・DVD版)についてブログで長々と言及してみるテスツ(何

 まず、はじめに、「魔法少女まどか☆マギカ」というアニメは、「もののけ姫」並には大衆向けのアニメです。子供向けでもないし、オタク専門というわけでもありません。
 対象としては、登場人物と年代が近い中高校生はもちろんですが、大学生や社会人でも充分に楽しめます。……というか、大人の方がより楽しめるかも知れません。

 普段、純文学しか読まないぜとか美術館巡りが趣味だぜって人達で、普段アニメなんて乳臭いものは見ないぜって人は、ぜひ見たほうがいいでしょう。

 



 「魔法少女まどか☆マギカ」というのは、2011年1月からTBS系列で放映されていた、全12話(1クール)の深夜アニメです。原作の無いアニメオリジナルというやつで、2011年12月には、文化庁メディア芸術祭アニメーション部門を、アニメオリジナルのTVアニメでは初めて受賞しました。
 ……と、ここまで書けば、権威主義的な人には充分かも知れませんが、もう少し書かせて下さい。

 現在、劇場版が公開中ですので、CMが流れたりめざましテレビで紹介されたりと、色々と話題になってるので、興味を持ってる人も多いかと思います。で、そのような報道・CMをきっかけとして、DVDをツタヤとかで借りて見てみようと思ってるかも知れません。
 そんなあなたにアドバイスをするならば、3話までは、日曜朝にやってるような幼児向けアニメのノリで、1話から順に我慢して見なさい。3話まで見終わって何か感じたものがあったならば、オススメ」といいたいです。
 3話までは、「美少女戦士セーラームーン」とか「プリキュア」とか「リリカルなのは」みたいなノリのアニメなんだなという認識で見ているといいでしょう。そうやって3話まで見終わった時、何かを感じているはずです。それこそが、このアニメの主題です。
 そこに興味が持てないようであれば、あなたにとってこのアニメは見る価値が無かったという事になります。劇場版も同様に見る価値はありません。しかし、この主題に気がついて、そこに興味が持てたなら、ぜひ見るべきです。



 ストーリーは、中学2年生の鹿目まどかという少女を中心に展開されます。

 3話までは、映像表現などで目新しさこそ感じるでしょうが、ストーリーとしては普通の魔法少女モノに似たような展開で進んでいきます。人によっては退屈に感じるかも知れません。あるいは、オタクが見る低俗なアニメのように感じるかも知れません。
 しかし、1話から3話までは、ジェットコースターで例えるとリフトで上に巻き上げられている途中のようなものですから、仕方がありません。
 ストーリーに飽きたら、目新しい映像表現をご鑑賞下さい。3話の最後には、きっと、このアニメが今までにないアニメであることに気付くでしょう。

 4話から9話までの間に、少しづつ、色々な状況が解明されていきます。しかし同時に、様々な謎が振りまかれます。
 様々な人物が、各々の思惑や価値観で行動します。その結果、発生する様々なことが、各々の登場人物に多大な影響を与えます。
 そこから発生する様々な出来事は、登場人物のみならず、視聴者の価値観をも揺り動かすでしょう。

 10話は、9話までの展開から一時的に切り離される、食中酒のような回です。
 ある登場人物に焦点を当てた回ですが、その人物以外の登場人物はおろか、今まで撒かれてきた謎の一部に対する回答を示す回でもあります。
 もし、このアニメを最初から最後まで全話見て、またかつ、劇場版も見る予定があるか既に見てしまったという人であれば、この10話を最初に見て、その後に1話から順に見てゆくという楽しみ方もあるかと思います。

 そして11話12話は、いよいよクライマックスです。
 この話は、本来3月に放映予定だったのですが、東日本大震災の影響で放送が延期され、4月になってから2話連続で放映されました。
 そのため、視聴者の期待が物凄く高まっていたのですが、その期待を満足させてあまリあるクオリティーに、日本のみならず海外でも話題になりました。



 少しオタク的な話もさせて下さい。

 このアニメのキャラクターデザインは、蒼樹うめという人が担当しています。
 この人は、「ひだまりスケッチ」という日常系(何気ない、全く問題のない日常生活を題材にした作品)4コママンガの原作者です。
 どちらかというと癒し系の絵を書く人で、間違ってもバイオレンスな表現は(自身の作品中では)好まない人です。
 代表作「ひだまりスケッチ」は、後にテレビアニメ化されて人気を博しました。

 一方で、脚本は、虚淵玄(うろぶち げん)という人が担当しています。
 この人は、「Fate/Zero」という小説を執筆した人物で、独特の価値観に基づく、若干バイオレンスなストーリー展開に定評があります。このアニメの脚本を担当するまでは、「ハッピーエンドが書けない脚本家」として有名でした(本人は、それを理由として筆を折ろうとまで思っていたこともあったようです)。
 その理由としては(彼の小説や彼が脚本を担当したゲームを実際にプレイした事が無いので、アニメ化された「Fate/Zero」を視聴しての推測ですが)、彼はどうも、善悪二元論的なストーリー展開を嫌うようで、善も悪も程度問題だろうというのを基本的な土台としてストーリーを構築しているようです。そして、その土台の上に、善だ悪だと一般的に思われているものを載せて揺さぶって、それらを再定義しようと試みる……といったことを好むようです。

 この2人は、水と油のようにベクトルが全然違うクリエイターなのですが、この2人を結びつける乳化剤の役割をしたのが、アニメ製作を担当したアニメスタジオ「SHAFT」です。
 ちなみに、このアニメスタジオは、前述の蒼樹うめの「ひだまりスケッチ」をアニメ化したスタジオで、その縁で氏にキャラクターデザインの依頼が行ったようです。
 さて、このスタジオは、かなり前衛的で革新的な映像表現に定評があり、既存のアニメの枠に囚われず、常に新たなアニメの形を追求しています。もはやこれは、アニメと呼んでいいのかどうか、疑問に思う時すらあります。
 その結果、未だかつて無い素晴らしい作品(オタク用語では「神回」と呼ばれます)が生まれることがある一方で、同時に多くの失敗もしており、それゆえに賛否が別れるスタジオでもあります。
 「魔法少女まどか☆マギカ」の場合は、この性質がいい方向に転んでくれたようで、それゆえにここまで評価されるアニメになったといえるでしょう。



 もちろん、万人が万人、好むような作品ではありません。キャラクターデザインに対するアレルギー意識をお持ちの方もいらっしゃるでしょうし、何度も書いてます通り、3話まで見て何とも思わなかった人には、オススメできません。また、SHAFTの前衛的革新的な映像表現を嫌う人も居るでしょう。
 しかし、単純にアニメだからだとか、いわゆる「萌え絵」だからだとかいう理由で敬遠しているのは、あまりにももったいない作品です。