海ミハ車両区

宮原太聖(Miha)の雑記帳。おおむね週1回更新でした。当面(記事がある程度貯まるまで)はおおむね月1回の更新です。

マストドンって何?

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この前、「マストドンって何?」という動画をアップしました。

 肉声でかなり聞き取り辛く、お恥ずかしい限りなんですが、改めて、この動画で伝えたかった事を書いてみたいと思います。

 

 

マストドンは、従来のTwitterFacebookなどのアンチテーゼとして生まれたSNSです。
 従来のSNSは、特定の会社が運営する、中央集権的なサービスでした。本来、インターネットというのは、コンピューターが互いに接続し合う、「中央」というものが存在しないネットワークだったハズなのですが、現在では、GoogleTwitterなどの存在感が大きすぎて、まるで、これらのサイトを中心としてインターネットが作られているような状態になってしまっています。
 とくにTwitterは、東日本大震災以降、多くの自治体が、ある種の防災無線代わりにも使うようになってしまいました。自治体によるSNSの積極活用自体は間違った事ではないと思いますし、むしろ奨励すべき事だとは思いますが、たとえば、ある日、東海地震が発生した際、その翌日ぐらいに突如Twitter社が倒産したら、一体何が起きるでしょう? もちろんこれは、Twitterに限った話ではありません。もし、LINEがサービス終了したら?

 あるいは、仮にあなたが、Twitterでのギスギスしたタイムラインに疲れてしまい、どこか別のサービスへ移ろうと考えたとします。しかし、あなたがフォローしている人は、依然としてTwitterを使い続けている。そんな場合、あなたは、泣く泣くその人を追いかけるのを止めるか、その人のために仕方なくTwitterを使い続けるかの選択を迫られる事になります。

 

マストドンは、そういった問題を解決する存在です。

マストドンは、かなりTwitterに似たサービスです。できる事自体も、Twitterとほぼ変わりません。フォローしたユーザーのトゥート(Twitterでいうツイット)が、タイムラインを流れます。しかし、Twitterマストドンとの決定的な違いは、その思想や哲学なのです。

 

マストドンは、特定の会社によって運営されるSNSではありません。マストドンは、「インスタンス」と呼ばれる、いわゆるサーバーが互いに連携し繋がりあうことで出来上がっているSNSです。「インスタンス」は、誰でも自由に作る事ができます。たとえば、2017年9月現在、世界で1番ユーザー数の多いインスタンスである「Pawoo」は、Pixivによって運営されていますが、2番目に多くのユーザーを抱えるインスタンス「mstdn.jp」は、個人によって運営されています。既に、ホスティングサービスも複数存在しており、ブログを作るような感覚で誰でも気軽にインスタンスを立てる事ができるようになりつつあります。

 ユーザーは、自分が信頼できると判断したインスタンスにアカウントを作ります。今までのSNSでは、たとえば、自分のアカウントがTwitterにあるとして、フォローしたい人のアカウントがLINEにしか無かったら、当然の事ながらフォローできませんから、新しいアカウントをLINEに作るしかありませんでした。しかし、マストドンでは、異なるインスタンスに所属するユーザーであっても、フォローできます。用語としては「リモートフォロー」と言うのですが、実際の挙動は、普通のフォローと変わりありません。

 たとえば、あなたは、かつての色々な事件から、Pixivの運営が信用できないと判断したとします。そこであなたは、ドワンゴが運営しているインスタンスfriends.nicoにアカウントを作りました。そしてあなたは、絵師さんをフォローしようとしましたが、その絵師さんは、ニコ動のノリを嫌がって、よりにもよってPixivが運営するインスタンスであるPawooにアカウントを作っていました。こういう時、従来のSNSのシステムでは、どちらかがもう片方にもアカウントを作るしか方法がありませんでした。しかし、マストドンでは、friends.nicoからPawooのユーザーをフォローできるのです。もちろん、その逆もできます。そしてこれももちろんですが、インスタンスを越えてリプを送ったり、ブースト(Twitterでいうリツイート)もできます。
 更に、インスタンスを引っ越す事もできます。たとえば、最初、friends.nicoにアカウントを作ったものの、何らかの理由で嫌気が差して、個人運営のインスタンスであるmstdn.jpへ移りたいと思ったとします。マストドンには、フォローのインポート・エクスポート機能があります。つまり、元居たインスタンスからフォローをエクスポートし、新しいインスタンスへインポートすれば、新しいインスタンスでもタイムラインは以前通り。全く支障はありません。
 インポート・エクスポート機能を使うと、フォローを異なるアカウントで共有できます。ですから、たとえば、Pawooとfriends.nicoとの両方にアカウントを作り、同じユーザーをフォローするような状態にしておけば、どちらか片方がメンテナンスその他の理由で止まったとしても、もう片方のアカウントを使えば普段通りに使えるという訳です。Twitterでは「Twitterが落ちた」とツイットできませんが、マストドンでは「マストドン落ちた」とトゥートできる訳です。

 

Twitterには、タイムラインがひとつしかありませんが、マストドンにはタイムラインが3つあります。「ホーム」と「ローカルタイムライン」「連合タイムライン」です。
 「ホーム」は、Twitterのタイムラインと同様に、フォローしたユーザーのトゥートが流れて来るタイムラインです。これは、Twitterユーザーには理解しやすいと思います。
 続いて「ローカルタイムライン」は、インスタンス内の全ユーザーのトゥートが流れるタイムラインです。特別な設定をしていなければ、あなたのトゥートも全て「ローカルタイムライン」に流れます。日本の大手インスタンスPawoo、mstdn.jp、friends.nicoはどれも1時間あたり100人~1000人程度が使っているようなので、たとえあなたのフォロワーがゼロ人であっても、100人以上のユーザーにあなたのトゥートを見ている訳です。
 更に、「連合タイムライン」には、あなたが所属するインスタンスのユーザーのトゥートに加えて、それ以外のインスタンスのユーザーのトゥートも流れています。たとえば、Pawooの「連合タイムライン」にはmstdn.jpやfriends.nicoのユーザーのトゥートも流れていますし、何ならこれらのインスタンス以外のユーザーのトゥートも流れています。
 ユーザー数の多いインスタンスほど、「ローカルタイムライン」や「連合タイムライン」に流れているトゥートも多くなりますし、とくに「ローカルタイムライン」で見ているユーザーの数も多くなりやすい訳ですが、一方で、ユーザー数の多いインスタンスほど、「ローカルタイムライン」や「連合タイムライン」に流れているトゥートがあまりに多くなりすぎて、まるで滝のように流れ去ってしまいがちです。その辺りのバランスも含めて所属するインスタンスを検討すると、より便利に使えるかもしれません。

 

マストドンは、自由なSNSです。フォローするのも(相手さんがフォローを承認制に設定していなければ)自由ですし、法律の範囲内であれば、何をトゥートしても構いません。そして、自分と合わないなというユーザーは遠慮なくミュート・ブロックして構いません。Twitterにあるような「引用RT禁止」だの「FF外から失礼」だのといったくそったれなローカルルールはありません。そして、将来、仮にそんなくそったれな謎ルールが蔓延したとしても、そういったルールを無効にしたインスタンスを自らの手で立ち上げる事もできます。
マストドンには権威はありません。フォロワー数とは無関係に充分な情報発信力があります。ブースト数もFav数も競う意味すらありません。強いて言えば、各インスタンスの管理者は権威かも知れませんが、数多のインスタンスの中で相対化されますし、嫌なら自由に引っ越せる訳ですから、そんなに問題にならないでしょう。

 

 

 そんな訳で、不自由なTwitterに嫌気が差しているあなた、ぜひマストドンを始めてみませんか?

 もし、マストドンに興味を持って、所属するインスタンスを探したいのであれば、以下のサイトがオススメです。

マストドンについてより詳しく知りたいのであれば、IT media NEWSの一連のマストドン関連記事「gnusocialやmastodonの哲学」というブログ記事などをお読み戴けると、より理解を深められると思います。

 自由で、平等で、博愛に満ちたマストドンライフを!

 

P.S. マストドンに関する質問とかありましたら、このブログのコメント欄でも、マストドンの私のアカウント宛てにリプでも構いませんので、遠慮なく送ってください。可能な限り答えます。

 

 

<追記>